
- 2025.4.16
- 車内クリーニング
- クリーニング
- 脱臭
旧車の車内クリーニング(特別な事例)
宮崎市にお住いのS様から、車内クリーニングのご相談をいただきました。お車の詳細をうかがっていなかったため、お客様がお見えになった瞬間、足が止まってすぐにお迎えできませんでした。と、言いいますのもTOYOTAエンブレムのツーシータートラック、左ハンドルのロングなボディ、ハイラックスの逆輸入車(旧車)です。
現状確認
お客様のご要望は、最近中古で購入したが汚れがひどい。早く日常で使いたいので、とにかくきれいにしてほしいとのコメントです。シートの汚れ具合、経年のホコリ等からみますと、気持ちよく乗りたいという感情は当然のことでしょう。
ただ、旧車の汚れは簡単には落ちません。一般的にはまずブラシとエアーでおおまかにホコリを飛ばすのですが、そのホコリが土台にこびり付いています。樹脂パーツなどの変色もかなりあるようです。



腕の発揮どころだ!というやりがいのある好奇心と、見違えるほどきれいになるかなという半信半疑な思いが織り交ざりつつも、オーナー様のキレイなクルマを楽しみにしている笑顔にお応えするため、通常より長くお預かりし、少しずつ作業することをご理解いただきました。
ホコリと誇りの闘い
オーナー様のご希望でシートを脱着し、まずはフロアのゴミ・ホコリを飛ばします。長い毛足のフロアカーペットが一面に敷かれています。これも旧車によく見かけるカーペットですが、毛足が長いだけにほこりがよく積もっています。エアーを掛けてもかけてもほこりが爆発的に出てきます。風があまり吹いていないので、車内に充満します。エアーをかけては外で深呼吸し、息を止めて車内へ顔を突っ込みエアーを掛けます。何度も何度も繰り返しながら、ようやくホコリが出なくなりました。フーって感じです。
続いてシートのホコリ取りです。エアーでたたきます。ホコリ出ます。またたたきます。ホコリ出ます。こちらのホコリも相当なようです。直接手でたたきます。すごいほこりが舞います。単純にたたいてはダメです。スポーツでいうところのスナップをきかせます。(わかっていただるでしょうか?)段々手が痛くなってきたので、代わりになる板を探してきました。
パンパンパン、おっ、軽快です。ホコリもさらに舞います。パンパンパン、ホコリ舞う。パンパンパンパンパン、ホコリ舞う舞う。パンパンパン、パンパンパン、パンパンパパパンパン・・・。リズムカルになってきました。
約30分くらいでしょうか、これでもかっていうくらい延々とホコリをたたき出しました。フロアマットと合わせて約1時間以上、私自身のホコリも一緒にたたき出されたのかのように、とてもすっきりしました。このホコリ取りをきちんとしておくことで、アルカリの洗剤を注入し水洗いする際の作業が楽になりますし、清潔感も断然増します。
お客様の大切なおクルマで申し訳ないのですが、この辺で勘弁してやるか!と、捨て台詞を吐きながら本日の作業を終えます。家に帰って気づいたことですが、顔がホコリと汗で黒くなっていました。鼻の下には鼻水とホコリがまみれた跡があり、結構きたない顔になっています。帰りにコンビニ寄らなくてよかったです。笑
必殺アルカリ電解水洗浄
さて、ホコリとの戦いにまみれた次の日は、ハンドルを含むダッシュボードの洗浄です。通常はアルカリを噴霧し、汚れを浮かび上がらせ、マイクロファイバークロスでサラッと拭きとります。しかし、今回はいささか状況が違います。サラッと拭きあがりません。ネバっとこびり付いている感があります。写真にあるハンドル部分がそうです。隙間に自作の割りばしスティックを差し込み、ねちっこいほこりをかきとります。手を掛ければかけるほど汚れはきれいに取れますが、なかなか根気のいる作業が続きます。ちょっと力をいれながら擦ってもいいのですが、旧車の場合それぞれのパーツが痛んでいるため、パリッと割れることが心配なんです。部品交換ができない(探してこれない)から慎重に慎重に作業します。



続いてシート(ファブリック部分)の洗浄です。昨日、懸命にホコリをたたき出しましたが、洗剤を入れて吸い出しますと結構濃いめの汚れが出てきます。シートベルトも汚れていたので、同様に作業するとこちらも汚れ出ますね。吸い出した汚れは当然のように真っ黒く濁っています。この汚れがシート約3脚から3杯出ました。これまでの最高記録ですね。いやーすごかったです。



今度は、革部分の汚れ落としです。専用クリーナーを噴霧してブラシで擦ります。汚れがひどくなければブラシを使用せずクロスのみで拭き上げる方法もありますが、柔らかく弾力のある馬毛で革のしぼ(くぼみ)の中の汚れを掻き出します。思った以上に汚れてたようです。拭き取り前後のクロス(写真2枚目)を見ますと一目瞭然ですね。仕上げは、水に濡らし固く絞ったクロスで再度拭き上げます。この作業をすることでクリーナーの汚れもきれいに取れました。



最終仕上げは、フロアカーペットです。毛足が長いだけに助手席の汚れ(油・さび?)は思っていたとおり厳しかったです。シート同様3杯分の汚れは取り出しましたが、真っ白にはなりませんね。薄くはなったし、マットを敷くのでこれで良しとしています。ただ、清潔感はありますよ。毛足も元気に立って弾力も出ましたので、寝っ転がって肌すりすりしてもいいくらいです。オーナー様が喜んでいただくくらいには仕上げたと自負しています。




あとがき
今回の旧車との初対面は、正直に言いますと驚きの方が勝っていました。しかし不思議なもので、毎日のようにご対面し、少しずつ手を掛けていきますと段々と愛着も出てきます。きれいになっていく過程を身近に感じると自然とうれしくなるものですね。年式が年式ですから完璧な状態に汚れは取れませんが、清潔感はバツグンに出てきたと思います。実は、シートが重くて1人では持てなかったため、オーナー様と一緒に運び入れて装着しました。オーナー様きれいになったフロア・シートを見て大喜びでした。
久しぶりの旧車は、初対面からプチドラマの連続でした。おかげさまでいい施工事例のネタになったのではないかと思います。この度は、弊社へのご用命と貴重な経験をさせていただき、誠にありがとうございました。